【ペプチド青い美容液】正体は銅?アズレン?攻めと守りの選び方
SNSの美容アカウントや海外のスキンケア通の間で、静かに、しかし熱狂的に支持されている「青い美容液」。
その鮮烈なサファイアブルーの液体は、見ているだけで何やらとてつもない効果を秘めていそうですが、同時に「これ、顔に塗って大丈夫なの?」という一抹の不安を覚える方もいるかもしれません。
実はこの青色、単なる映え目的の着色料ではありません。
肌の奥底にある細胞を目覚めさせる「銅」の輝きか、あるいは荒れた肌を優しく包み込む「植物」の癒やしの色か。
その正体を知れば、あなたの肌悩みを解決する最強のパートナーになる可能性があります。
この記事では、ちょっぴりマニアックな成分の化学的な秘密から、絶対にやってはいけないNGな使い方まで、辛党主婦はるちゃんが徹底的に深掘りして解説します。
- 青色の正体が「カッパーペプチド」か「グアイアズレン」かで効果が180度違うこと
- 肌のたるみやシワに攻め込むなら銅、赤みや炎症を守るならアズレンという選び方
- マニア垂涎のNIOD、癒やしのクレアス、そして2025年トレンドのThe Ordinaryの比較
- 高価な美容液を一瞬で無駄にしてしまう「ビタミンC」や「酸」との併用リスク
ペプチド青い美容液の正体と成分の色

「青い美容液」とひと口に言っても、実はその中身は大きく2つの派閥に分かれています。
見た目はどちらも美しいブルーですが、肌へのアプローチは「攻め」と「守り」くらい違います。
まずはそのボトルの青色が何を意味しているのか、科学の視点で覗いてみましょう。
青色は着色料ではなく高濃度の証
まず最初に安心してください。あの目が覚めるような青色は、決して合成着色料(青色1号など)ではありません。成分そのものが放つ自然な色なのです。
具体的には、以下の2つのパターンのどちらかです。
- カッパートリペプチド-1 (GHK-Cu): 銅イオン(Cu2+)を含むペプチド複合体。鮮やかでクリアな青色が特徴。
- グアイアズレン: カモミールなどの植物精油から得られる成分。少し深みのある紺色に近い青色が特徴。
特にカッパーペプチドの場合、その色の濃さは「濃度の濃さ」に直結します。
銅イオンは水に溶けると特定の波長の光を吸収して青く発色する性質(d-d遷移といいます)があるため、色が濃いほど、肌に届く有効成分がたっぷり入っているという「本気度」の証明になります。
「色が薄い=効果が薄い」と断定はできませんが、あの毒々しくさえ見える青色は、メーカーが自信を持って高濃度配合した証拠なんですね。
攻めのエイジングケアなら銅ペプチド
もしあなたが鏡を見るたびに
「なんとなく顔が下がってきた」
「肌の密度がスカスカになった気がする」
と感じているなら、選ぶべきは「カッパートリペプチド-1(GHK-Cu)」配合の美容液一択です。
この成分のすごいところは、単に肌を潤すだけではなく、遺伝子レベルで細胞に働きかけ、肌の基礎を整える「遺伝子モジュレーター」のような働きが期待されている点にあります。
カッパーペプチドの主な働き:
- コラーゲン・エラスチンの合成サポート: 線維芽細胞に働きかけ、肌のハリの元となるタンパク質の生成を促します。
- 酵素への銅供給: コラーゲン同士を結びつけ(架橋)、肌を安定させる酵素「リジルオキシダーゼ」は銅を必要とします。カッパーペプチドは銅を含む複合体として作用し、この酵素に必要な銅をサポートする役割を担います。
- 肌の再構築(リモデリング): 古い組織を分解する酵素(MMP)と、新しく作る因子(TIMP)のバランスを調節し、肌のスクラップ&ビルド(再構築)をサポートします。
つまり、守るだけでなく、積極的に肌質を入れ替えていきたいという「攻め」の姿勢の人にぴったり。
人間の血漿中にもともと存在する成分ですが、60代になると20代の頃の約4割にまで減ってしまうため、外から補うことは非常に理にかなったエイジングケアと言えます。
守りの鎮静ケアならグアイアズレン
一方で、
「季節の変わり目に肌が荒れる」
「ニキビの赤みがずっと消えない」
「マスク擦れでヒリヒリする」
といった悩みを持つ方には、カモミール由来の「グアイアズレン」が主役の美容液が救世主になります。
グアイアズレンは、古くから火傷や湿疹の治療薬としても使われてきた成分で、その鎮静能力は折り紙付きです。
この成分の役割は、肌の中で暴れまわる炎症物質(ヒスタミンなど)をなだめ、血管の拡張を抑えて赤みを引かせること。
また、紫外線などのダメージによって発生した活性酸素を消去する能力も高く、日焼け後のレスキューケアとしても優秀です。
カッパーペプチドが「工事現場の監督」だとしたら、グアイアズレンは「優秀な消防士」のようなもの。火事を消し、現場を冷やして、平穏を取り戻す「守り」のケアです。
NIODとクレアスの決定的な違い
市場には数多くの「青い美容液」が存在しますが、その頂点に君臨する2大ブランド、NIOD(ニオド)とKlairs(クレアス)を比較すると、その違いが浮き彫りになります。
| 比較項目 | NIOD (CAIS 3 1:1) | Klairs (ミッドナイトブルー) |
|---|---|---|
| カテゴリ | サイエンス・クリニカル系 | K-Beauty・センシティブ系 |
| 主成分 | 純粋カッパーペプチド 1% + フリーペプチド 1% | グアイアズレン + 成長因子 (EGF/bFGF) |
| ターゲット | 上級者向け 本気で肌質改善したい人 | 初心者・敏感肌向け 肌を鎮静させたい人 |
| テクスチャー | 完全に水のようなシャバシャバ系 | サラッとした水のような質感 |
| 香り | お酢のような酸っぱい原料臭 | 無香料 (ほぼ無臭) |
| 価格帯 | 高価格帯 (約10,000円〜) | 中価格帯 (約3,000円〜) |
NIOD (CAIS 3 1:1) の特徴:
カナダ発の変態的(褒め言葉です)スキンケアブランド。製品名の「1:1」は、銅ペプチドと銅を含まないペプチドを1%ずつ配合していることを意味し、安定性を極限まで高めています。香りは正直言って臭いですが、それが余計な香料を使っていない証拠。肌の深部を再構築したい人向けです。
Klairs (ミッドナイトブルー) の特徴:
韓国コスメの優しさを体現した一本。鎮静成分グアイアズレンに加え、肌の表面を修復するEGF(上皮成長因子)と深部に届くbFGF(線維芽細胞成長因子)を配合。「鎮静しながら再生もする」というバランスの良さが魅力で、ニキビ跡に悩む人に絶大な人気を誇ります。
2025年話題のThe Ordinary
そして今、美容界隈をざわつかせているのが、あのコスパ最強ブランド「The Ordinary」の動向です。
これまで「銅ペプチド」といえば、原料が高価であるため1万円近い製品が当たり前でしたが、The Ordinaryが「Multi-Peptide + Copper Peptides 1% Serum」という製品で価格破壊を起こしています。
実はこの製品、NIODと同じ親会社(DECIEM)が作っているため、技術的な信頼性は抜群。
NIODほどの複雑な処方(浸透技術など)ではないものの、純粋な銅ペプチドを1%配合している点は同じです。
2025年には日本でも本格的に流通し、これまで「高くて手が出なかった」層が一気に流入することで、青い美容液のニュースタンダードになると予想されます。
「まずは銅ペプチドを試してみたい」というエントリーモデルとして最適でしょう。
ペプチド青い美容液の効果的な使い方

魔法の青い液体を手に入れたとしても、使い方を間違えれば、それはただの「高い青い水」になってしまいます。
特にカッパーペプチドは非常にデリケートで、化学的な相性がはっきりしている成分です。効果を最大化するためのプロトコル(手順)をしっかり押さえておきましょう。
洗顔後すぐのブースター使用が基本
カッパーペプチドもグアイアズレンも、使用するタイミングは「洗顔後、一番最初」が鉄則です。
NIODなどの製品が水のようにシャバシャバしているのには理由があります。それは、高分子の増粘剤(とろみ成分)を排除することで、ペプチドが角質層の奥深くまで浸透するのを邪魔しないようにするためです。
もし、とろみのある化粧水や乳液を先に塗ってしまうと、肌の表面に油分や保湿成分の膜ができてしまい、繊細なペプチドが奥まで届きません。
「顔を洗ったら、タオルで拭いて、即・青!」
このスピード感が命です。
顔全体に行き渡らせたら、優しくハンドプレスして浸透させ、その後にいつもの化粧水→美容液→クリームという手順で進めてください。
ビタミンCや酸との併用を避ける理由
ここが最も重要で、最も多くの人が犯してしまうミスです。カッパーペプチド(GHK-Cu)は、特定の成分と出会うと化学反応を起こし、効果を失うどころか肌トラブルの原因になります。
【絶対NG】併用禁止リスト
- ピュアビタミンC (L-アスコルビン酸): 強力な還元剤であるビタミンCと、酸化剤である銅イオンが反応し、お互いを破壊します。さらに活性酸素が発生するリスクもあります。
- 酸性の成分 (AHA, BHA, グリコール酸, サリチル酸): 酸性の環境下(pHが低い状態)では、銅イオンがペプチドの結合から外れて(乖離して)しまいます。
- 強力なレチノイド: 必ずしも禁止ではありませんが、どちらも細胞活性作用が強いため、初心者が同時に使うと刺激が強すぎて皮剥けなどを起こす可能性があります。
「え、ビタミンCも使いたいんだけど…」という方は、「朝はビタミンC、夜は銅ペプチド」というように、時間を完全に分けてください。
または、30分以上時間を空けて肌のpHが戻ってから使うという方法もありますが、リスクを避けるなら別々のルーティンにするのが無難です。
敏感肌でも安心なパッチテストの方法
特に海外製の高濃度美容液(NIODなど)は、日本人の肌には刺激が強い場合があります。
いきなり顔全体に塗る前に、必ずパッチテストを行いましょう。
- 二の腕の内側や耳の後ろなど、皮膚が薄く目立たない場所に少量を塗ります。
- 24時間そのままにして様子を見ます。
- 赤み、痒み、強い刺激感がなければOKです。
カッパーペプチド特有の反応として、塗った直後に「カーッと熱くなる」「ほんのり肌が赤らむ」ということがありますが、これは血流が促進されている証拠でもあり、数分で引くなら問題ありません。
しかし、ずっとヒリヒリしていたり、発疹が出たりする場合は、銅アレルギーや成分不適合の可能性があるため、直ちに使用を中止してください。
期待できる毛穴やハリへの効果期間
美容液を買うとついつい「翌朝にはツルツル!」を期待してしまいますが、カッパーペプチドに関しては「長期投資」のつもりでいてください。
グアイアズレン(鎮静系)なら、ニキビの赤みが翌日に引いているなどの即効性を感じやすいですが、肌の再構築を行う銅ペプチドは時間がかかります。
効果実感の目安:
- 1ヶ月目: なんとなく肌の調子が良い、乾燥しにくくなったかも?
- 3ヶ月目: 肌の密度が上がり、指で押した時の押し返す弾力が変わってくる。
- 6ヶ月目: 浅い小ジワや毛穴の開きが目立ちにくくなり、肌全体のトーンが均一に。
「1本使い切ったけど効果がわからない」とやめてしまうのが一番もったいない成分です。
肌のターンオーバー(約28日〜年齢による日数)を数回繰り返すことで真価を発揮するので、じっくり腰を据えて付き合いましょう。
カッパーペプチドの副作用と対処法
銅ペプチドを使用するコミュニティの間で囁かれる現象に、「The Uglies(アグリーズ)」と呼ばれるものがあります。
これは、使用開始直後に「逆に肌が老けて見えた」「シワっぽくなった」と感じる現象のことです。
注意: これは正式な医学用語や臨床研究で証明された副作用ではなく、あくまでユーザー間での「逸話的報告(Anecdotal reports)」です。
しかし、理論的には以下のような可能性が考えられます。
- 代謝バランスの一時的な変化: カッパーペプチドがコラーゲンを分解する酵素(MMP)を刺激し、新しいコラーゲンが生成されるまでの間にタイムラグが生じることで、一時的にハリが低下したように感じる可能性。
もしこの現象を感じたとしても、多くの場合は一時的なものです。
不安な場合は使用頻度を「毎日」から「週に2〜3回」に減らし、肌の再生ペースに合わせてあげることで改善するケースが多いようです。
あまり神経質になりすぎず、自分の肌と相談しながら使うのがコツですね。
自分に合うペプチド青い美容液の選び方
最後に、ここまでの情報を踏まえて、あなたに最適な「青い美容液」を選ぶためのフローチャートをまとめます。
- 「本気で肌を作り変えたい」あなたへ:
迷わずNIOD CAIS 3 1:1、またはコスパ重視でThe Ordinary。
刺激があっても結果を求める、スキンケア上級者の選択です。
- 「肌荒れを治したい、守りたい」あなたへ:
優しさ溢れるKlairs ミッドナイトブルー。
ニキビ跡や赤みに悩む敏感肌さんの、お守りコスメとして常備しましょう。
- 「どっちも気になる」欲張りなあなたへ:
肌の調子が良い時は銅ペプチドで攻め、生理前や肌荒れ時はアズレンで守る。
この「二刀流」ができれば、あなたはもう立派なスキンケアマニアです。
青い美容液は、その美しい色だけでなく、肌の未来を変える可能性を秘めています。正しい知識と使い方で、あなたの肌にとって最高の「青」を見つけてくださいね。
参考文献・引用元
- Pickart L, et al. “Regenerative and Protective Actions of the GHK-Cu Peptide in the Light of the New Gene Data” (PubMed)
- Dou Y, et al. “The potential of GHK-Cu in skin regeneration and wound healing.” (PubMed)
- National Institutes of Health (NIH). “Copper peptide GHK-Cu: A novel skin remodeling agent.”
- NIOD Official Site. “CAIS 3 1:1 Protocol & Conflicts.”
- Klairs Official Site. “Midnight Blue Youth Activating Drop Description.”
※この記事は教育・情報提供を目的としており、 医学的助言の代わりではありません。 皮膚トラブルがある場合は皮膚科医にご相談ください。



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